保有割合別の内部紛争コラム

少数株主が取り得る法的手段②~内部紛争・トラブル型の事業承継の勘どころ~

1.少数株主が取り得る法的手段②~会計帳簿等の閲覧謄写請求~

少数株主が取り得る次の法的手段の1つとして,会計帳簿又はこれに関する資料(以下「会計帳簿等」といいます。)の閲覧謄写請求権というものがあります(会社法433条1項)。

本請求権は,計算書類等の閲覧謄写請求権よりもう少し踏み込んだ資料の開示を求めるものであり,本請求権の行使により,取締役の違法行為や犯罪行為が明らかになる場合もあります。

うまく行けば,本請求権の行使によって入手した資料を元に,取締役に対する違法行為差止請求(会社法360条)や責任追及の代表訴訟(会社法847条),取締役の解任請求(会社法854条1項)など,役員の業務執行の直接的な是正や監督も法理論上は不可能ではありません。

本請求権は,本訴手続きでも仮処分手続きでも行使可能ですが,仮処分手続きによる場合は,保全の必要性も要件とされます(東京高裁平成13年12月26日決定等)。

本請求権は,株主が経営監督権を行使するための前提の権利として認められたものと言ってよいですが,会計帳簿等は会社のいわば内部資料であり,会社の営業秘密に関わることも少なくないこと等から,計算書類等と比べると,認められるための要件はより厳しくなっております。

以下,具体的に見ていきます。

次ページ 「2.会計帳簿等の閲覧謄写の具体的要件~計算書類等よりも要件が厳しい~」

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