保有割合別の内部紛争コラム

検査役選任申立の積極的な活用法②~内部紛争・トラブル型事業承継の勘どころ~

2.

前回のコラムで指摘した通り、総会検査役が選任されると、検査役は、通常、株主総会の開催に先立って、どのような点が(株主総会の有効無効等の)争点になり得るのか、決議事項の賛否の見通しはどうなのか、などを当事者双方に確認し、必要な説明や立証資料などの提出を求めてきます。株主総会の有効無効に大きく影響し得る事項であることが明らかであれば、検査役が選任される前の段階から裁判所が促してくる場合もあります。

例えば、名義株の存在が問題となり得る、と一方当事者が述べてきた場合は、他方当事者に対して、「真実の株主」は誰と考えるのか・当該人物が「真実の株主」と考える理由は何なのか・どのような証拠があるのか(或いはその提出)、などを求めてきます。

そこで指摘された「争点となり得る事項」は、総会検査役の調査を通じて、最終的に検査役によって作成される報告書に記載されることになります。

検査役の報告書に記載された事項は、株主総会の有効無効や取消の有無の判断に直結することが多く、総会検査役や裁判所から説明や立証(ないし反証)を求められた側の対応が不十分だと、その求められた側の望まない株主総会の結果となることは少なくありません。

例えば、名義株の存在を指摘された側が、自らが「真実の株主」と考える理由や証拠を十分に示せない場合は、後で株主総会決議の有効無効が問題となった場合に、その時の不十分な対応を踏まえて裁判所に判断されることにならざるをえないでしょう。

このように、総会検査役を通じたチェックは、訴訟そのものではないものの、説明を求められた側は、検査役の求めに対して真摯に応じることが一般です。

そのため、双方ともに、検査役の確認作業を通じて、相手方の手持ち証拠のかなりの部分を、事実上入手ないし確認することが出来ることが少なくありません。

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