コラム

株主総会決議の不存在、無効、取り消し

2 株主総会決議の無効とは

株主総会決議が「無効」とされる場合は、株主総会の決議の内容が、法律に違反する場合です。この場合には、会社法830条2項に基づき、「株主総会決議無効の訴え」を提起して、株主総会決議の無効を裁判所によって確定してもらうことができます。

(1)決議の無効事由となる法令違反

ア 株主平等原則違反

会社法には「会社は、株主を、保有している株式の数や種類に応じて、平等に取り扱わなければならない」という定めがあります(会社法109条1項)。

つまり、同じ10株を保有しているAさんとBさんがいた場合には、Aさんにだけ100万円の配当をあげる、ということはできません、というルールです。

このルールに反した場合には、109条1項違反という「法令違反」があるとされ、決議が無効となります。つまり、上記の例でいえば、「Bさんは10万円、Aさんには100万円を配当しよう」という決議がなされた場合、この決議は「株主平等原則(109条)」違反として「法令違反」があるとされ、決議が無効となり得ます。

イ 違法な剰余金配当

株主は、株主の地位に基づく権利として、会社の業績に応じた配当を受けることができます(会社法105条1項1号)。しかしこの配当は、会社の業績が良く、必要なお金を差し引いても「剰余(あまり)」が出た場合にしかもらえません。会社に対しお金を貸していたりする債権者がいるため、債権者の利益を守るために、会社に一定の財産を残しておかなければならないからです。このことは、「剰余金配当規制」として、会社法461条が定めています。

しかし、剰余金がないにも拘わらず、株主に配当するという決議がなされた場合、これは「剰余金配当規制違反(461条)」として「法令違反」があるとされ、決議が無効となります。

(2)株主総会決議無効確認の訴えの提起方法と効果

株主総会決議無効確認の訴えについても、株主などの「無効を主張する正当な利益があるもの」であれば、法理論上はだれでも提起することができます。提訴期間についても定めはありませんが、株主総会不存在確認の訴えと比較すると、法的判定性の観点から、法解釈上、制限される場合があります。

効果についても、不存在決議と同様です。「対世効」を有しています。

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