コラム

会社法上の株主の取扱(株主平等原則)

3.株主平等原則が法律上の問題点となった事件

2007年8月に最高裁判所決定が下った「ブルドックソース事件」は、株主平等原則違反かどうかが法律上の問題点となった判例として知られています。

本件は、アメリカの投資ファンド:スティール・パートナーズが東証二部上場のブルドックソースに対してTOBをしかけたことに端を発しており、ブルドックソースが講じた買収防衛策(ポイズン・ピル)に対して、スティール・パートナーズが不服として争ったものです。

本件の特徴は、

  • 1.事前警告型の買収防衛策の定めがなかった、
  • 2.防衛策(差別的な行使条件を付した新株予約権の無償割当て)が株主総会の特別決議に基づいている、
  • 3.買収者に対して、経済的損失を与えないように対価を支払っている、

というもので、株主平等原則に違反しないか(109条1項、247条1号)や不相当な防衛策であり著しく不公正ではないか(247条2号)が法律上の問題点となりましたが、最高裁判決(平成19年8月7日)では、

  • 1.会社法109条1項に定める株主平等原則の趣旨は、株主に対して新株予約権の無償割当てをする場合にも及ぶ。
  • 2.特定の株主による経営支配権の取得に伴い、株式会社の企業価値がき損され、株主の共同の利益が害されることになるような場合に、その防止のために上記特定の株主を差別的に取り扱うことは、衡平の理念に反して相当性を欠くものでない限り、会社法109条1項に定める株主平等原則の趣旨に反しない。
  • 3.特定の株主による経営支配権の取得に伴い、株式会社の企業価値がき損され、株主の共同の利益が害されることになるか否かについては、株主総会における株主自身の判断の正当性を失わせるような重大な瑕疵が存在しない限り、当該判断が尊重されるべきである。

とし、本件では、株主平等原則に反さず、不公正な発行でもないとして、ブルドックソースが勝訴となりました。

まとめ

株主平等原則は、一般株主ないし少数株主を保護するための強行法規定としての性格があり、この原則に反する株主総会決議、取締役会決議、取締役の業務執行行為等は無効となりますが、例外もあります。また、閉鎖会社において、株式の取扱に際して属人的な定めをするなど、株主平等原則の例外的な対応をされる場合でも、事情によっては無効と判断されることになります。裁判例のように、会社の支配権争いや内部紛争が生じた場合、株主平等原則やその例外の射程が問題となることがありますので、個別具体的な事例については、当職の法律相談をご利用ください。

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