コラム事業承継

弁護士×中小企業診断士の視点:成功する事業承継と失敗する事業承継の分水嶺

2.大切なのは「当事者の意識改革」

高橋診断士の発表の中で、「経営者・後継者が円滑な事業承継を進めるには、専門家のサポートが大切」という言及があった。

これについては全面的に同意である。

ただ、次の問題は、そのような認識に当事者がなってくれるかどうか、だとも思う。

私が関与した事例では、後継候補者を含む周囲が、経営者に「専門家を入れて、事業承継を推し進めていった方が良いのではないか」と進言していたにもかかわらず、経営者は長年にわたってこれを放置したため、最終的に後継候補者が会社を去る事態になってしまった、という事例もあった。

以下は、中小企業白書2014年版からの抜粋資料である。

中小企業白書2014年版内資料

中小企業白書2014年版より

上記は、「自分の代で廃業することもやむを得ない」と回答した者のうち、「事業承継が円滑に進まなかった理由」の上位に「事業承継に関して誰も相談しなかった」を主な理由に挙げている回答者の集計、内訳である。

母集団が「事業承継に関して誰も相談しなかった」回答者なので、やむを得ない部分もあるが、「相談しても解決するとは思えなかった」「承継のことは誰にも相談しないと決めていた」「相談しなくても何とか出来ると思った」など、事業承継に専門家が関与することの必要性や重要性に対する意識の低さが、見事に列挙されている。

そういう意味では、事業承継の成功/失敗を分ける分水嶺は、

・「当事者の意識改革」

なのではないか、と思う。

第三者承継であれば事業承継型M&A、従業員承継であれば経営者保証ガイドライン、親族内承継であれば事業承継税制など、10年前に比べて、事業承継を推し進める外部環境は急速に整備されている。

経営者年齢平均は相変わらず上昇の一途をたどるなど、事業承継問題は更に切迫している中で、まずは「事業承継問題」を、緊急性が低い等に理由で後回しにせずに、正面から取り組む「当事者の意識改革」が必要ではなかろうか。

(以上)

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