事業承継コラム

事業承継を「1つのビジネスチャンス」と捉えていただく(先代経営者の視点から)

1.社会問題化する事業承継

中小企業経営者の高齢化が進んでいます。

一億総活躍社会にあって高齢の経営者の方が元気に経営に励まれることはとても素晴らしいことですが、一方で、「70代~80代の経営者の半数の方が事業承継の準備に着手していない」という憂慮すべきデータがあります(株式会社帝国データバンク「中小企業における事業承継に関するアンケート・ヒアリング調査」2016年2月)。

後継者が不在な会社は、当然、経営者の引退や死亡とともに廃業や倒産を余儀なくされるわけで、従業員の失業、下請会社の失注、特有技術の消失など、地域社会や地域経済にとって良いことは何一つありません。

事業承継が社会問題化している、といわれる所以です。

2.後回しにしがちな事業承継

経営者の仕事を、一言にまとめれば「会社を存続させていくこと」であることは言うまでもありません。営業活動、取引先との調整、財務会計など、経営者が中核を担う仕事はたくさんありますが、後継者育成・事業承継、といった中長期的な経営課題もまた、経営者の大切な仕事であることを否定される方はあまりおられないでしょう。

もっとも、目の前の経営課題に忙殺される中で、自分が元気なうちに経営を引き継ぎ、後継者が安心して経営できるようにバックアップをしていき、会社を末永く存続させる、といったものは、半分雲をつかむような話です。

後継者の育成には5~10年の期間を要するというデータもある中で(中小企業基盤整備機構「事業承継実態調査」2011年3月)、事業承継への取り組みは、(先代)経営者の方からすれば、どうしても後回しにしがちな経営課題となってしまいます。

3.事業承継は「1つのビジネスチャンス」

私のところに相談や依頼に来られる(先代)経営者の方は、すでに事業承継を決心し取り組もうとされている方がほとんどなので、(先代)経営者の方に事業承継への取組をお薦めする場面は、現実にはほとんどありません。

もっとも、事業承継という社会問題に取り組む専門家として、或いは、同じ経営者として(私自身も経営者です。)、事業承継に取り組む意義を語らせていただくとすれば、事業承継は、実は「1つのビジネスチャンスである。」と申し上げると、(先代)経営者の方々にとっても、もう少し馴染みのあるテーマになるのではないでしょうか。

①経営者が交代すると経常利益率が高くなる傾向がある

事業承継への早期取組を応援する心強いデータがあります。「経営者が交代すると経常利益率が高くなる」というデータです。

出典:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H28/h28/html/b2_6_2_2.html

②従業員承継やM&Aを通じて、創業者利益を現金化し得る

従業員承継やM&Aを通じて、会社の経営権を後継者に無事に引き継ぐことが出来たのであれば、創業者には、株式譲渡や退職金を通じて、創業者利益を現金化できる場合があります。

事業承継を進めることが、従業員や下請会社、取引先、金融機関などといった、周辺関係者や地域経済の利益になることは冒頭で述べた通りですが、肝心の会社本体や(先代)経営者の方にとって、事業承継を進めることでどのような利益をもたらし得るのかを紹介させていただくことは、とても重要なことだと考えます。

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当職は、2つの国家ライセンス(弁護士×中小企業診断士)を活かした、中小企業法務&経営サポート業務を提供しております。とりわけ、弁護士と中小企業診断士、それぞれのスキルやノウハウを横断的に活かすことが出来る、会社の内部紛争(経営紛争・支配権争い)やトラブル型事業承継の支援を得意としております。

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