検査役選任申立の積極的な活用法①~内部紛争・トラブル型事業承継の勘どころ~
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総会検査役に株主総会のどのような事項をチェックの対象として求めていくのかにもよりますが、選任される総会検査役は、株主総会の開催に先立って、どのような点が(株主総会の有効無効等の)争点になり得るのか、決議事項の賛否の見通しはどうなのか、などの基本的な事項を当事者双方に一通り確認していくのが通常です。招集の手続きや株主の地位に争いが生じ得る場合は、それぞれについても適宜確認し、チェックしていくことになります。
それらの確認作業を通じて、株主総会に関与する当事者は、否応なしに当該総会が第三者である総会検査役やその背後に控える裁判所の監視の下で行われることを自覚させられることになります。
また、株主総会当日は、受付業務から運営の終わりに至るまで、総会検査役は、株主総会の全体が見渡せる場所に位置取りをしながら、また時には補助者を利用しながら、逐一適法性をチェックしていきます。
総会検査役は、誰の味方でも無く、あくまで中立の立場ですから、総会決議に反対する一派の株主や役員側だけではなく、株主総会を主宰していく役員や株主の側にも、「適法に株主総会を実施しなければならない」というプレッシャーはもちろん生じます。
しかしながら、それがかえって、主催者側にも参加者側にも適度な緊張感を生み、適正かつ円滑な株主総会を関係者一同で作り上げる、という機運を高めていくことになります。