弁護士×中小企業診断士の視点:コロナ禍における事業承継・経営紛争①
2.変わらぬ需要の親族内承継・経営紛争
親族内承継・経営紛争はどうか。
これについては、目ぼしい資料が見当たらなかったため、私個人の雑感ベースでしかないが、去年の緊急事態宣言直後は親族内承継・経営紛争の相談は流石に減ったものの、緊急事態宣言が明けた6月ころから緩やかに回復し、去年の年末ころにはコロナ禍依然と同じくらいの数のご相談をいただくようになった、というのが実感である。
相談に来られる方のご様子を見ていると、親族内承継や経営紛争は、ご高齢の方が関わることが多いので、去年の緊急事態宣言の直後は流石に相談を控えていたが、そうも言ってられないので、目の前の課題に対処すべく相談に来られた、という雰囲気である。
このように、コロナ禍が事業承継・経営紛争に与える影響は、ほぼないか、あったとしても既に回復を見せているということができる。
以下、コロナ禍でも相談に来られることの多い、①名義株の問題、②役員の解任・退任(や交替)問題、③株式の譲渡・譲受けの問題、について、簡単に解説していく。(続く)
【宣伝を兼ねて告知すると,本年5月13日に大阪弁護士会館にて,大阪弁護士会・近畿財務局の共催シンポジウム「コロナウイルス禍での事業承継・スモールM&Aの最前線」でパネリストとして登壇予定である。】
ページ: 1 2