保有割合別の内部紛争コラム

検査役選任申立の積極的な活用法③~内部紛争・トラブル型事業承継の勘どころ~

1.総会検査役の選任と効用について(各論③)

前回、前々回と、場合によっては、株主総会の検査役の選任を薦めさせていただいていることを説明させていただいております。

本稿はその続きです。

総会検査役を選任する効用の3番目に挙げさせていただきたいのは、既に挙げた「違法性の抑止機能」や「証拠保全機能」((実務ガイド「新・会社非訟」(増補改訂版)148頁)の派生的効果として、「総会検査役を選任してまで行う株主総会」を機に、対立する当事者で話し合いをする機運が高まる場合があること、です。

幸か不幸か、株主総会の開催により、関係者一同が集まる(集まらなければならない)、また開催した株主総会を適法に実施しなければならない、という性質上(極端な話ではありますが、少数派株主の質問を黙殺して強行採決に至った場合、たとえ過半数の株主の賛成を得られたとしても、取消の対象となるおそれは否定できないでしょう。)、多数派であっても少数派であっても、否応なしに協議をしなければならない、という側面があります。

また、総会検査役の選任の持つ「証拠保全機能」を通じて、どのような点が株主総会の有効無効等の争点になり得るのか、それに関連する重要な証拠にはどのようなものがあるのか、はある程度チェックでき、それにより、対立する双方の当事者ともに、「各種会社訴訟を行った場合(行われた場合)、どのような結論になるのか」は、かなりの部分で共有できることも、話し合いを促進する材料の一つとなり得るでしょう。

そのため、「総会検査役を選任してまで行う株主総会」を機に、当事者間のみによる話し合いや示談交渉とはまた違った局面として、対立する当事者で話し合いがまとまる場合も有り得る、というのが、私の実感です。

次ページ 「2.抽象的に言うと分かりにくいので、具体例を示しながら説明させていただきます。」

お気軽にお電話ください。
相談のご予約はこちら

ご相談・ご予約はこちら お電話:06-6170-8366 電話番号:06-6170-8366 メール相談・来所相談を承ります

多種多様な事案に対応

新世綜合法律相談事務所