事業承継コラム

弁護士×中小企業診断士の視点:非上場株式の買取業者について

4.会社側に正義はあるのか?

ひるがえって考えてみると、会社側が少数株主の要望に真摯に対応すれば、非上場株式の買取業者が登場する場面は乏しい。実際、経営陣と少数株主が対立していても、建設的な話し合いによって解決しているケースは多数ある。

すなわち、非上場株式の買取業者が登場しがちな場面は、非上場株式で、①相続が発生、②少数株主の株が高値評価されてしまう、③少数株主の株式買取を経営陣や支配株主側が拒否、④少数株主側に相続税の支払いや経営陣側に対する強い悪感情などの動機がある、という様々な悪条件の全部又は一部が重なってしまう場合、ともいえる。

更に言えば、(非上場株式の買取業者が登場する場面に限らないが)③少数株主の株式買取を経営陣や支配株主側が拒否していたり、④少数株主側に相続税の支払いや経営陣側に対する強い悪感情などの動機があるケースでは、経営陣側が築き上げた資産を配当にも回さずに、役員報酬などで長年「独り占め」しているケースもある。

このように、会社側と少数株主側、それぞれから概ね半分程度、相談等に乗らせていただいている立場からすると、非上場株式の買取業者が登場するような場面で、ひるがえって「会社側に正義があるのか?」と問われれば、(ケースバイケースとは思われるが)直ちには賛同しにくい現実があるのも確かである。

上記の通り、私自身、買取業者には、多くの場合、正義があるとは思わないが、「常に悪か」と問われれば、社会的ニーズに支えられて機能してしまっている現実を見ると、言葉に窮してしまうのが現在の目線である。

(以上)

お気軽にお電話ください。
相談のご予約はこちら

ご相談・ご予約はこちら お電話:06-6170-8366 電話番号:06-6170-8366 メール相談・来所相談を承ります

多種多様な事案に対応

新世綜合法律相談事務所