事業承継コラム

弁護士×中小企業診断士の視点:非上場株式の買取業者について

2.買取業者には、多くの場合、正義は無い

断っておくが、私自身、非上場株式の買取業者には、多くの場合、正義があるとは思っていない。

特に会社側の立場に立った場合、上場企業におけるグリーンメーラー の如く、高値売却を目的に会社経営に参画してくる買取業者に対して、貴重な会社資産の一部を株式買取の対価として支払わなければならないのは、たとえ1円であっても、まさに断腸の思いであろう。

適正な会社経営のために、(少数)株主が各種株主権を行使することは、むしろ真っ当なことであるが、買取業者にある動機は、多くの場合、「株式の高値売却」ただ1点であり、各種株主権の行使は、そのための便法でしかない。

買取業者と少数株主との契約形態によっては、弁護士法違反や通謀虚偽表示なども有り得るところである。

更に言えば、買取業者による各種行為は、弁護士が少数株主の代理人として行使する場合と異なって、社会的相当性の範囲で行われることが法令等で担保されているわけではない。

買取業者が現実に違法行為に及ぶかどうかは兎も角、そのような不安に陥った会社側が、買取業者の要望に応じて高値で株式を買取ってしまうことも少なくない。

少数株主による株式買取要求には応じない会社側が、買取業者の要望には応じてしまう背景にあるのは、そういった「不安感」にほかならず(「不安感」が無ければ、買取業者の要望も少数株主と同様に対処するはずである。)、他人の「不安感」を換金の道具とする多くの買取業者に、社会的正当性を私はあまり感じない。

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