少数株主が取り得る法的手段②~内部紛争・トラブル型の事業承継の勘どころ~
2.会計帳簿等の閲覧謄写の具体的要件~計算書類等よりも要件が厳しい~
会計帳簿等の閲覧謄写請求権者は,総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主又は発行済み株式の100分の3以上の数の株式を保有する株式に限られていいます(会社法433条1項)。
また,会計帳簿等の閲覧謄写請求者は,請求の理由を明らかにしなければならず,閲覧謄写請求が株主の権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求が行われた場合など一定の場合には,会社が請求を拒絶することが出来ます(会社法433条2項)。
前回に述べた通り,計算書類等の閲覧・謄写請求権の場合には,株式数や保有割合の制限はなく,閲覧謄写の理由を明らかにすることは法律上は求められていません。
このように,会計帳簿等の閲覧謄写請求は,計算書類等の閲覧謄写請求よりも要件が厳しくなっており,そのため,後述するような実務上,訴訟上の対応の違い等が生じてきます。