コラム

何故株主権の帰属が問題となるのか?

4.大切な株式(保有割合)を失わないために~防衛策①:契約書等を作成する~

内部紛争が発生した場合に、大切な株式(保有割合)を失わないための防衛策としては、やはりまず、株式譲渡契約書や当該譲渡を承認する株主総会決議書等の証拠書類をきちんと用意しておくことが大切です。

確定申告書類等に利用される同族会社等判定明細書は確かに重要な情況証拠の一つですが、あくまで「間接証拠」に過ぎず、自ら保有する株式数を直接証明する書類ではないことに十分注意するべきです。とりわけ名義株を利用しておられる場合は、書類上は他人の名義となっているわけですから、自らが実質的な株主であることを積極的に証明していく必要があり、いわば出発点からしてマイナススタートであることに十分注意する必要があります。

5.大切な株式(保有割合)を失わないために~防衛策②:できるだけ自署する(させる)~

次の防衛策として、株式譲渡契約書等の契約書類は勿論のこと、会社設立時の定款や株主総会(議事録)、会社登記変更時の株主総会(議事録)等、株主による権利行使に関わる書面を作成する際は、できるだけ株主として自署する(させる)ことが挙げられます。例えば会社の登記を変更する際に作成する書類は、司法書士等に全てを任せることがほとんどであると思われます。法律上も株主総会議事録に株主の署名が要求されているわけでもありません。

これらのこと等から、株主総会議事録等に株式の帰属が問題となる方の自署のある書類を見かけるケースは決して多くはありませんが、その反面、株主による権利行使に関わる書類に、株式の帰属が問題となる方の自署があれば、自己が株主であることの大きな証拠となり得ます。 全ての書類に自署しない(させない)としても、一部でもそのような書類があれば、証明のし易さは全く変わってきますので、株主による権利行使に関わる書類を作成する際は、出来る限り、自署する(させる)ことを心懸けましょう。

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