少数株主が取り得る法的手段①~内部紛争・トラブル型の事業承継の勘どころ~
1.少数株主が取り得る法的手段~はじめに~「会社は株主のもの(所有)である。」
2000年代半ば、ライブドアによるニッポン放送の株式買収問題や、「村上ファンド」による「物言う株主」の台頭などをきっかけに、「会社はだれのものか。」という大きな論争が起きました。
会社法においては、会社の所有者が株主であることは厳格に定められており(会社法104条及び105条等)、経営陣(役員)は、会社からの委任を受けて(会社法330条、民法643条以下)、会社の業務の執行等を行っているに過ぎません(会社法348条等)。
そして株主間同士でも、会社は、原則として、株主をその有する株式の内容及び数に応じて平等に取り扱わなければならないこと(会社法109条1項、株主平等原則)との兼合い上、その力関係は、原則として株式数によって規律されることになり、結果として、議決権総数の過半数株式を保有しない少数株主は、会社法上も事実上も、株主権の行使に大きな制約を受けざるを得ないことになります。
もっとも、少数株主であるからと言って、あらゆる場面において多数株主の横暴を甘受しなければならないわけではありません。
本稿では、数は多くないにしても、少数株主が取り得るいくつかの法的手段について検討をしていきたいと思います。