保有割合別の内部紛争コラム

少数株主が取り得る法的手段①~内部紛争・トラブル型の事業承継の勘どころ~

請求権者は、計算書類等の閲覧や謄写をする理由を明らかにすることは法律上は求められておらず、仮に会社側がこれを拒否したい場合は、会社側において、正当な目的に基づかない閲覧・謄写請求であることを積極的に主張立証していく必要があります。

会社が計算書類等を作成しているかどうかが問題となるときもありますが、会社法上、会社は各事業年度に係る計算書類を作成する義務を負うこと(会社法435条2項)などから、請求権側において、その存在の立証が困難になる場合は多くはありませんが、真実その文書が作成されていない、ということが判明した場合には、その作成を懈怠した取締役等が過料の制裁(会社法976条7号)を受け得るのは別段、その作成を請求することまでは出来ないと解されています(東京高裁昭和58年3月14日判決)。

閲覧謄写の対象となる計算書類には、連結計算書類は含まれていないと解されています。会社法上も、444条3項に規定する大会社のみが作成義務を負うとされており(会社法431条との関係においても、中小企業の会計指針である「中小会計要領」や「中小企業の会計に関する指針(中小指針)」においても、連結決算書類の作成は義務とされていません。)、実務上も、中小企業において連結決算書類が作成されることは殆どありません。

但し、親会社の株主その他の社員(会社法31条2項)であれば、自己の権利を行使するため必要ある場合は、裁判所の許可を得て子会社の計算書類を閲覧することが出来ます(会社法378条3項等)。

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