保有割合別の内部紛争コラム

少数株主が取り得る法的手段①~内部紛争・トラブル型の事業承継の勘どころ~

2.少数株主が取り得る法的手段①~計算書類等の閲覧謄写請求~

(1)少数株主が取り得る法的手段の1つとして、まず、計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書(これらを合わせて、以下「計算書類等」といいます。)の閲覧謄写請求権というものがあります。

内部紛争やトラブル型の事業承継において、少数株主により行われる計算書類等の閲覧謄写請求権は、ボクシングに例えると、いわばジャブのようなもので、株主代表訴訟や取締役解任の訴え、株主総会開催請求(開催許可申立)や業務検査役選任申立など、その後に行う予定の各種訴訟の前捌きとして行われることが多いです。

(2)「計算書類」とは、「貸借対照表、損益計算書その他株式会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるものをいう」(会社法435条2項)とされており、「法務省令で定めるもの」は「株主資本等変動計算書及び個別注記表」を指します(会計規則59条1項)。

財務に馴染むのある方であれば、この4点があれば(なおかつ当該計算書類が正確であれば)、会社のある程度の財務状況を知ることが出来ることがお分かりいただけるかと思います。

計算書類等の閲覧・謄写請求権者は、株主であれば誰でも認められており、株式数や保有割合、保有期間による制限は一切ありません。

なお、株主だけではなく債権者にも計算書類等の閲覧・謄写は認められております。

次ページ 「請求権者は、計算書類等の閲覧や謄写をする理由を明らかにすることは法律上は求められておらず、仮に会社側がこれを拒否したい場合は、会社側において、正当な目的に基づかない閲覧・謄写請求であることを積極的に主張立証していく必要があります。」

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